TOKYO, Jun 24, 2020 - (JCN Newswire) - 三菱重工グループの三菱重工エンジニアリング株式会社(MHIENG、社長:寺沢 賢二、本社:横浜市西区)と英国の大手電力会社Drax社(Drax Group plc)は、Drax社が英国ノース・ヨークシャー州に保有するバイオマス発電所からCO2を回収する新しい実証プロジェクトを、2020年秋から実施することで合意しました。植物由来の燃料を使うことによりCO2排出量を正味ゼロ(カーボン・ニュートラル)にできるバイオマス発電と、排ガスからのCO2回収技術を組み合わせたBECCS(Bio Energy with Carbon dioxide Capture and Storage)プロジェクトを通じて、世界初となる商用規模でのネガティブ・エミッション(CO2排出量が正味マイナス)社会の実現に向けて両社で協力を進めていきます。
Drax社は、2030年までにカーボン・ネガティブ(CO2排出量が吸収量を下回り正味マイナスとなる状態)企業を実現するという目標達成に向けたステップとして、MHIENGのCO2回収技術の実証試験を行います。今回、12ヵ月間にわたるパイロット試験において、一日約300 kgのCO2を回収し、バイオマス燃焼排ガスへの適用性と性能を確認します。今回の試験では、2種類のアミン吸収液KS-1(TM)とKS-21(TM)を用いた試験が行われる予定です。KS-1(TM)は、これまでMHIENGが納入した全てのCO2回収プラントで採用されており、信頼性と経済性で高い評価を得ています。また、KS-21(TM)はMHIENGと関西電力株式会社との共同研究で、技術改良を続けて開発した新たな吸収液です。KS-21(TM)は、KS-1(TM)と比べてさらに再生効率に優れて劣化も少ないといった特徴を有しており、今後の展開に向けて運用コストの改善など経済性の向上が期待できるものです。
Drax社のCEOであるウィル・ガーディナー(Will Gardiner)氏は次のように述べています。「ノース・ヨークシャー州の発電所で画期的なBECCSプロジェクトを実現するという当社の計画は、新型コロナウィルス危機後の英国経済の活性化に役立ち、またこの地域のクリーンな成長を実現し、多くの雇用を促進するものです。このたび、MHIENGと共同で実施するパイロット試験を通じて、当社が大規模なBECCSプロジェクトを進める上で必要な知識や理解を深め、2030年までにカーボン・ネガティブ企業になるという世界最高水準の目標達成に向けて一歩前進することとなりました」。
MHIENGは、1990年から関西電力株式会社と共同で燃焼排ガス向けCO2回収技術(KM CDR Process(TM))を商用化している、この分野における世界のリーディングカンパニーです。2020年6月現在、世界最大となるPetra Novaプロジェクト(米国・テキサス州)向けを含む13のプラントで納入実績を有しており、さらに現在2プラントが建設中です。
MHIENGの寺沢 賢二社長は、次のように述べています。「私たちは技術供与を通じて、Drax社とともにこのプロジェクトに参加できることを大変誇りに思っています。当社は、このBECCSパイロットでの実証を踏まえて、将来的に英国のCO2排出量を正味ゼロにする目標に貢献できるものと確信しています」。
Drax社では、今後、BECCS導入によって最大で年間1,600万トンのCO2削減が期待されます。これは、英国政府の「2050年までにCO2排出量正味ゼロ」政策を達成するために必要なCO2削減量の3分の1に相当します。また地域の低炭素化を進め、5万5,000人の雇用を確保し、クリーンな成長をもたらすことが見込まれています。
英国 外務・英連邦省閣外大臣(アジア担当)兼国際開発省閣外大臣のナイジェル・アダムス(Nigel Adams) 氏は、次のような言葉を寄せています。「この取り組みは、Drax社と三菱重工業による興味深いコラボレーションです。英国が2050年までに温室効果ガスの排出量正味ゼロを達成し、ポスト・COVIDの経済回復に貢献するための技術開発をさらに進める可能性があります」。
三菱重工グループは、30年以上にわたる研究開発を踏まえ、また国内外の商業プラント実績に支えられた信頼性が高いCO2回収技術の提供を通じ、地球規模での温室効果ガス削減に向けた取り組みを継続していきます。
本リリースの詳細は下記をご参照ください。
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概要:三菱重工業株式会社
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